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「ううッ、それ……っ、いいの……ッ……!」
「それじゃなくてどれがイイのか、ちゃんと言ってごらんよッ」
「あ、あッ……クリトリスが……ッ、クリトリスがいいのッ」
「クリトリスだけじゃないんだろッ」
「え……ええっ、そうよ……おまんこも、全部……全部いいのッ」
口の端に涎さえ滲ませて、ためらいもなく淫語を口走る葵は、
明らかに亜里沙の強い口調に炙られていた。
そして焚きつけた亜里沙にも、葵の焔が返ってくる。
「真神の聖女だか知らないけどさッ、大股開いてヨガっちゃって、ザマァないねッ!」
「そうよっ、私は聖女なんかじゃない……亜里沙に犯されて悦ぶ、いやらしい女なの……!」
鞭のように叩きつける亜里沙の声に、葵は涎を飛び散らしながら掠れた声で応じ、自らも腰を振る。
恥じらいの一欠片もない、快楽を貪るためだけの動きに、亜里沙の口の端が吊り上がった。
「アンタ、思ったよりイイわね」
静かな本心は、しかし葵の耳には届いていない。
強烈な、電撃にも似た快楽が葵の五感を支配していたのだ。
「そうよ、あんたはいやらしい女……足の指まで突っ張らせちゃってさ、
ほらッ、イキなよ、イッちまいなよッ!」
一転して激しい口調となった亜里沙は、激情を叩きつけるように腰をぶつけた。
二つの淫珠が砕けんばかりにぶつかり合い、狂おしいほどの快感を二人にもたらす。
葵が足を抱えていた亜里沙の手を掴むと、亜里沙も強く握り返してきて、その刹那、
何かが弾ける感覚が葵を襲った。
「あッ……あああッ……!」
四肢を突っ張らせて葵は上りつめる。
髪は乱れ、肉体は淫らに歪み、息を荒げる彼女には確かに聖女の面影などない。
だが、果てた顔に浮かぶ菩薩めいた薄い笑みは、どこか神々しささえ感じさせるものだった。
二人はベッドに並んでうつ伏せている。
二人ともバスタオルすらまとわず、素裸のままだ。
特に葵などは髪を額に貼りつかせたままだったが、整えようとするでもなく、
亜里沙の横顔を眺めている。
その顔は何事か考えていたようだったが、やがて意を決したように口を開いた。
「ねえ」
「何よ」
「私のも、剃って欲しいの」
剃るって何を――問いかけて亜里沙は少し前のやり取りを思いだした。
アンダーヘアの処理。
亜里沙の、そして葵の年齢なら、行っている方が多いと思われること。
葵の真摯な眼差しに、亜里沙は非友好的なそれで報いた。
「自分でしなさいよ、そんなの」
「怖いの」
率直に弱みを見せる葵に、亜里沙は優越感と軽めの敗北感を同時に覚えた。
頭を下げられたら助けるしかない――少なくとも、赤の他人よりは半歩といえども踏みこんだ関係なら、
無下にはできないのが亜里沙の性分だ。
ただ同時に、素直に手を差し伸べたくはないというのも、紛れもなく性分だった。
「いいけどさ、全部剃ると他のヤツに見せらんなくなるよ」
「どうして?」
「普通は男がさせたがるモンなのよ。俺の女だってね。
今どき手入れするのなんて当たり前だと思うんだけどさ、結構信じてんのよね、男も女も」
肩をすくめる亜里沙に、葵は声を低めてぽつりと言った。
「それなら、なおさら貴女に剃って欲しいわ」
亜里沙は深くため息を吐いた。
葵はあまりに深刻に物事を考えすぎる。
元々あけっぴろげにできる関係ではなく、当人たちの意志とは無関係に別れる可能性があり、
そうでなくても明るい未来が待っているとは思えない。
だから、波が来れば崩れる、砂の城のような関係で良いと思っているのに。
だが、その辺りの心情は口にせず、軽い口調で亜里沙は言った。
「ま、いいけどね。カミソリは持ち歩いてるし、場所も好都合ってモンよね」
葵を促し、亜里沙は連れ立って浴室へと向かった。
浴室には空気を入れて膨らませるマットが用意してあった。
この手のホテルの浴室は、身体を洗うだけでなく、男女が戯れるためにも使えるようになっている。
剃毛にはおあつらえむきと言えた。
「ほら、横になりなよ」
敷かれたマットの上に、葵が横たわる。
左手でヘアを隠しているのが女神像めいた雰囲気を漂わせるが、亜里沙は無造作に告げた。
「隠してちゃ剃れないでしょ。足も開きなさいよ」
手はともかく、足の方はさすがに恥ずかしいらしく、中々開こうとしない。
焦れた亜里沙は葵の足首を掴み、一気に押し開いた。
「きゃッ……!」
「散々ヨガっておいて、今更カマトトぶるんじゃないわよ」
この時、亜里沙は必ずしも偽悪的ではない。
決断も行動も迅速が彼女の旨で、まだるっこしいのには敵意すら覚えるのだ。
亜里沙の剣幕に圧された葵は、恥部を他人に晒す。
晒した代わりに目を閉じるというのが彼女らしいが、それでは抵抗する意思を自ら放棄したに等しい。
まして、亜里沙のようなどんな状況にあっても享楽的な女性の前では、玩ばれるだけだった。
葵の性器を前にして、亜里沙は笑みを浮かべる。
「へぇ、なかなかイイ感じに生えてるじゃない」
下腹を覆う黒毛の数本を摘まんでみせると、葵が息を呑むのが伝わってきた。
両手で覆った顔からかろうじて露出した口から、か細い声が漏れる。
「い、いい感じって……どんな感じなの?」
一瞬の沈黙の後、刺すような笑い声が浴室を満たした。
傷ついた表情をする葵に構わず、亜里沙は笑い続けた。
腹を抱え、背を仰け反らせ、彼女の他の知人からは決して聞けない質問を笑い飛ばした。
「イイ感じはイイ感じよ。マバラだとみすぼらしいし、濃すぎでもみっともない。
アンタのはちょうどイイってことよ。エロいけどね」
実際、男を興奮させるのなら、このままの方が良いかもしれない。
陰毛の生え方に品も何もないだろうが、確かに葵のそこには品のようなものが感じられるのだ。
だが同時に、この男を知らない癖に酷く扇情的な下腹が、幼児のように剥きだしだとしたら、
そのエロさは比類ないとも亜里沙は思うのだった。
「さッ、始めるわよ」
ハサミを手に取り、亜里沙は三面鏡のように開かれた葵の足の間に陣取ると、
癖のない繊毛を一束摘み、無造作に切った。
「っ……」
ハサミの音に驚いた葵の身体が強張る。
小さく震えた腹部にサディスティックな笑みを浮かべ、亜里沙は更に数度ハサミを入れた。
それほどの時間もかからず、葵の恥毛はカミソリが当たる程度の短さになった。
「クリームを塗るわよ」
「え……ええ、お願い」
怯えた様子の葵にあえて何も言わず、亜里沙は葵の下腹部に刃を当てた。
軽い抵抗感の後に、体毛を剃り落としていく。
肌を傷つけず、そして剃り残しがないよう、軽やかに見えて丁寧な手つきで処理していった。
それほどの時間も経たず、葵の陰部は剥いた卵のような滑らかな肌を露わにする。
現出した期待した以上の光景に、亜里沙は音もなく唇を舐め回した。
「終わった……の?」
「剃り残しがないか確かめるから、まだ足閉じちゃダメよ」
言いながら亜里沙は恥毛が生えていた部分を撫でた。
そのついでに、親指でクレヴァスに触れてみたりする。
「……っ……」
敏感な場所を触られて、葵が微妙に反応した。
亜里沙が触ったのが故意なのか偶然なのか、迷っているのだろう。
その擦れていない、馬鹿正直な態度は、疎ましくもあり好ましくもあるが、今は後者だった。
「ふぅ……ん、我ながらキレイに剃れてるじゃない」
「あの、もう……」
明らかに確認は終わっているのに、下腹部に手を置いたままの亜里沙に、葵が声をかける。
聞こえないふりをして、亜里沙は続きを促した。
「さ、今度はうつぶせになりなよ」
「終わったのではないの……?」
怪訝そうに訊ねる葵に、亜里沙は口の端を吊り上げた。
邪悪、というよりもサディスティックな笑みが、葵に一抹の不安をもたらす。
「ブイを剃っただけよ。まだアイとオーが残ってるでしょ」
「……?」
やはりというか葵は知らないようだ。
些細であっても生じた優越感を、亜里沙は隠そうともしない。
「アイってのはここよ」
まだ仰向けの葵の性器の、下端から尻側をなぞる。
尻の孔に至るまでの数センチ、蟻の門渡りとも呼ばれる、通常生活なら気にも留めない場所だ。
「きゃっ……!」
思ってもいなかった部分を触られて驚く葵に構わず、亜里沙はさらにその先の窪みにまで触れた。
「で、オーってのはここ」
「……そ、そんなところ、剃らなくても」
驚きを通り越して自失している葵のアナルを、さりげなく指腹で刺激しながら亜里沙は答える。
「何言ってんの、ちゃんと処理しとかないとTバック履いた時に見えちゃうでしょ」
そんなものを履くつもりはない葵だが、自信満々で断言する亜里沙に何も言えない。
「そういうワケだから、ほら、さっさとうつぶせになりなよ」
ほとんど有無を言わさずにうつぶせにされてしまった葵に、亜里沙という名の恥辱はさらに襲いかかった。
「それじや、尻を上げて足を開いて」
「……! そ、そんな格好できないわ……!」
尻の孔を他人に晒すなど、想像しただけで身悶えしてしまう。
いくら亜里沙の話といっても、聞き入れることなどできるはずがなく、
葵は身体を反転させて逃れようとしたが、亜里沙の方が一枚上手だった。
「しょうがないわねぇ」
葵の腹とマットの間に手を入れると、一気呵成に持ち上げたのだ。
「きゃっ、ま、待って……!」
狼狽する葵の右尻を軽く引っぱたく。
「あぁッ……!」
痛みは少ない叩き方だったが、この場の支配権を確立するのには充分な強さだ。
葵が暴れるのを止めたところで、叩いた尻を今度は掴み、じわりと力を込める。
「……酷い、わ……」
渋々と言った風に尻が持ち上がった。
どれほどの美人であっても、美しくしようのない部分がある。
そして、純白の衣装についた一滴の汚れは、最初から汚れている衣装についた時よりもはるかに
鮮烈な印象を与え、衣装全体の価値すら貶めてしまう。
亜里沙はそう思って葵の最も穢れた場所を見たが、彼女の期待は外れ、
葵は排泄器官さえ汚れてはいなかった。
濃い目のファンデーション程度の沈着はあったが、
だらしなく生えている毛やいびつな形になっている孔のようなものはなく、
赤ん坊のような佇まいを見せている。
束の間見惚れさえした亜里沙は、クリームを手に取ると葵のすぼまりに魔指を伸ばした。
「あ、ああ……」
「じっとしてなさいよ」
尻孔が見えるように尻を掲げ、あまつさえ触らせるなど、
想像もしたことのない恥辱なのだろう、葵の全身が小刻みに震えている。
とりわけ優しく亜里沙は葵の肛門周辺に触れ、剃刀を当てた。
「ふ、うっ……」
敏感な場所への繊細な刺激に、すぐさま葵から声が漏れる。
快楽と忍耐の狭間にいるような喘ぎにゾクゾクしながら亜里沙は毛を剃っていった。
丁寧に、しかし愛撫的な動きも忘れずに、未だ侵食を受けていない秘密の狭間を開拓していく。
クリームを指で掬って塗り拡げると、大きな尻がもどかしげに揺れて亜里沙を愉しませるのだ。
共に戦った仲間の多くに慕われていた少女の痴態に、指先は留まるところを知らなかった。
「まだ……終わらないの?」
随分と時間が経ち、ついに恥ずかしそうに葵がそう訊いてきた時、剃毛はとっくに終わっていた。
「もうちょっとよ」
だが亜里沙はそう答え、アナル周りへの刺激を止めない。
慎ましいすぼまりの縁を念入りにほぐし、押し返す孔の弾力を愉しみ、
おそらくは葵自身も知らないであろう禁断の快楽を呼び覚まそうと試みる。
すると葵は背中側からアナルに至る路、つまり尻の割れ目の始まりの辺りが弱いらしく、反応が大きかった。
「あっ……う……」
水面を滑らせるように撫でるとひくりと尻が震える。
もう一度亜里沙が同じ動きを繰り返すと、今度は尻孔が収縮した。
「動いちゃダメよ」
指示に応えようと、葵の下半身に力が篭もる。
その素直さ、あるいは愚直さに笑みを浮かべながら、亜里沙はさらに執拗に葵の肛門を責めた。
爪は立てず、指の先と腹で晒けだされた尻の谷間に刺激を与えていく。
「ん……っ……」
細やかな愛撫に尻全体が大きく揺れる。
葵が感じているのは明白だったが、亜里沙は気づかぬふりをして、
マッサージに似た揉みと解しを繰り返しながら、不意に葵の弱い所を撫でた。
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